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愛犬・愛猫の寒暖差によるお肌のゆらぎとケアのポイント

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気温差が大きい季節に気をつけたいこと

11月は1日の中でも気温差が大きくなりやすく、わんちゃん・ねこちゃんの体やお肌にとって負担がかかりやすい時期です。今回は、この“寒暖差”が引き起こすお肌のトラブルと、お家でできるケアポイントをまとめました。

寒暖差が与えるお肌への影響

自律神経が乱れやすくなる

急激な温度変化は自律神経に負担がかかり、体温調節が追いつかなくなることがあります。
その結果、
・鼻水やくしゃみ
・一時的な咳     
などの症状が出ることも。

皮膚のバリア機能が低下する

気温差が大きくなることでお肌の皮脂と水分のバランスが崩れやすくなり、乾燥やかゆみ、
フケなどが増えやすくなることも。

呼吸器や関節にも負担がかかる

短頭種(フレブル、パグ、シーズーなど)、気管虚脱のある子、慢性鼻炎の猫は特に温度差による
刺激で症状が出やすい傾向があります。また、寒さが強まると関節の痛みが強くなる子も。


寒暖差による影響は一時的で比較的すぐに落ち着くことが多いのが特徴ですが
・長く症状が続く
・黄色~緑の鼻水が出る
・食欲や元気がない
といった場合は感染症の可能性があるため、早めに獣医さんに相談してください。

どれくらいの気温差で影響が出る?

人は「1日の気温差が7℃以上」で影響が出るといわれています。また、前日との差が5℃以上あると体調を崩しやすくなるともいわれています。
犬、猫の場合は人よりも寒暖差の影響を受けやすく、

・3~4℃  高齢や基礎疾患のある子は負担
・5~6℃  多くの子で症状が出やすい
・7~10℃  鼻、皮膚、自律神経に強いストレス

といった特徴があります。特に朝晩の急激な冷え込みや、暖房の効いた室内から外へ出た瞬間、夜の急な気温低下など“切り替わるタイミング“は体への負担が大きくなりやすいので注意が必要です!
子犬や子猫、シニアの子、心臓や腎臓に持病がある子は寒暖差の影響を受けやすいため、少しの変化でも注意深く見てあげましょう。

お家でできる寒暖差ケア

室温を急に変えない

冬は20~23℃を目安に、外気との差が大きくなりすぎないように調整しましょう。
暖房はゆっくり温度を上げるのがポイントです。

湿度を40~60%に保つ

乾燥すると鼻や皮膚の粘膜が刺激を受けやすくなります。加湿器や濡れタオルなど、
乾燥対策を。特に環境の変化に敏感な子は保湿ケアを念入りに!

温浴で体をあたためる

ぬるめのお湯での温浴は、血行を促して体をポカポカにしてくれるため、
寒暖差で固まりやすい体をやさしくほぐしてくれます。皮膚の乾燥が気になる子は、
保湿ケアとあわせて行うことでお肌の調子も整いやすくなります。

お散歩前後の“温度慣らし”

お散歩の前後に玄関や廊下など、外と室内の中間の温度の場所で1分ほど体を慣らすことで、
体への負担を軽減できます。

水分補給をしっかり

寒暖差がある日は代謝が乱れやすく、水分摂取が重要です。
特に猫は水をあまり飲まない子も多いので、ウェットフードや水飲み場の工夫がおすすめです。

呼吸器が弱い子は無理をさせない

お散歩は朝晩の冷え込みを避けて、暖かい時間帯に。
寒さで震えやすい小型犬は腹巻やお洋服での防寒も効果的です。

寒暖差と皮膚病の関係

暖房で必要以上に温めすぎると、マラセチアなどの細菌が増えやすくなるケースもあります。電気毛布やコタツの中に長時間いる子は皮膚トラブルが悪化する可能性もあるため、こまめな拭き取りやスキンケアで清潔に保ってあげましょう。

冬に向けて今からできるケア

11月は“冬本番に向けてお肌が揺らぎやすい時期”。
寒暖差による負担を少し意識してあげるだけで、お肌や呼吸器へのトラブルを減らすことが出来ます。日々の生活の中でできる小さな工夫を取り入れながら、快適に冬を迎える準備をしていきましょう。



このコラムは日本獣医皮膚科学会認定医・獣医学博士である島田 健一郎先生とのインスタライブを元に抜粋、編集しております。