猫の皮膚
お話し伺いました
猫のケア、本当に必要?獣医師×猫専門トリマーが答えるお悩み相談室
CONTENTS
獣医師×猫専門トリマーと考える猫のケア
犬に比べてお手入れの機会が少ない猫。
飼育頭数は増えている一方で、「猫にトリミングは必要ない」「お手入れは自分でできる」と思われることも多く、猫のスキンケアやサロンケアは、まだまだ発展途上の分野といえるかもしれません。
しかし実際には、「ブラッシングを嫌がる」「爪切りができない」「シャンプーのタイミングがわからない」など、お手入れに関するお悩みを抱えている飼い主さんが多いのも現状です。
そこで今回は、インスタライブ40回記念として開催した**獣医師 × 猫専門トリマーによる『猫のケアのお悩み相談会』**の内容をもとに、獣医師である島田 健一郎先生と猫専門トリマーの野口 零さん、それぞれの視点から猫のお手入れについてお届けします。
猫のお手入れは本当に必要?
🩺獣医師(島田先生)の視点 猫は自分でグルーミングを行う動物ですが、全ての子が十分にできているわけではありません。特に、長毛種やシニア期の子、皮膚トラブルがある子の場合だと汚れや抜け毛が残りやすくなります。また、若いうちから体に触れられることに慣れておくことは、将来の診察や治療のストレス軽減にもつながります。トリミングはシャンプーだけでなく、ブラッシングの方法や猫の扱い方を知る機会にもなるのです。 ✂猫専門トリマー(野口さん)の視点 サロンに来る猫の中には、毛玉や抜け毛が進んでしまってから来店されるケースも少なくありません。お家でのケアにはどうしても限界があるため、無理をするのではなくサロンに任せるなど、その子に合った方法を選ぶことが大切です。
猫はもともときれい好きな動物で、自分でグルーミングをする習性があるので「猫にシャンプーはしなくても良い」と思われがちです。しかし、実は猫は犬よりも皮脂の分泌が多く、毛の中に脂や汚れ、フケが溜まりやすいので定期的なシャンプーが大切です。
お手入れは特別なことではなく、皮膚や被毛の状態を保ち、小さな変化に気づくための時間です。お家でできることと専門家に任せることを組み合わせながらその子に合った形で、健康管理の一環として続けていくこと大切です。
ブラッシングや爪切りの役割
🩺獣医師の視点
被毛に隠れて、皮膚の異常に気付きにくい場合がありますが、ブラッシングは皮膚の状態を確認する大切な機会です。また、爪が伸びすぎると肉球に食い込んだり、飼い主さんのケガにつながることもあるため、先端だけでも定期的に整えることが大切です。
✂猫専門トリマーの視点
猫はじっとしているのが苦手な子も多く、ブラッシングが難しい場合もあります。そんな時はブラッシングスプレーを手につけて手櫛で行う方法もおすすめです。爪切りも無理に行わず、サロンや動物病院に任せることで安全に続けることができます。
ブラッシングは抜け毛や毛玉を防ぐだけでなく、皮膚の状態を確認する大切なケア。特にダブルコートの猫は、抜け毛を取り除いてあげることで吐き戻しの軽減にもつながります。また、顎周りのニキビやフケなどは日常生活の中では気付きにくいこともありますが、定期的に体に触れることで小さな変化にも気付きやすくなります。
ブラッシングと爪切りは「完璧に行うこと」よりも「体に触れられることに慣れる時間」として取り入れることが大切です。短い時間から少しずつ続けることで、猫にも飼い主さんにも負担の少ないケアとして続けられます。
外出に慣れることもケアのひとつ
🩺獣医師の視点
猫は犬に比べて腎臓病や糖尿病などの慢性疾患を抱えることも多く、通院が必要になったときに備えて、移動や環境の変化に慣れておくことはとても重要です。水が苦手な子の場合は霧吹きで遊びながら体に水分が触れる感覚に慣らす、ドライヤーの音を日常的に聞かせるなど、少しずつ経験を積むことで負担を減らすことができます。
✂猫専門トリマーの視点
キャリーを普段からお部屋に置いておき、安心できる場所にしておくことで移動時のストレスが大きく変わります。サロンに通うこと自体が外出の練習になり、環境の変化に慣れるきっかけにもなります。
猫は環境の変化に敏感な動物です。そのため、通院やサロンが“特別なイベント”になると、大きなストレスになってしまうことも。
外出に慣れることは、将来の通院やケアをスムーズに行うための準備。
通院やサロンを“特別なイベント”にするのではなく、日常の延長として少しずつ経験を重ねていくことがポイントです。
シャンプーは皮膚と被毛のコンディションを整えるケア
🩺獣医師の視点
猫は皮脂の分泌が多く、見た目では分かりにくくても皮脂汚れが蓄積していることがあります。そのため、シャンプーをすることは余分な皮脂や抜け毛を取り除き、皮膚バリア機能の維持につながります。また、被毛が清潔に保たれることで飼い主さんのアレルギーや感染症のリスク軽減という面でもメリットがあります。
✂猫専門トリマーの視点
サロンで洗うことで顎まわりのニキビやフケなどの早期発見につながることもあります。例えば長毛の子は1ヶ月半~2ヶ月に1回、短毛の子は2ヶ月に1回程度のケアがおすすめです。定期的に洗うことで毛玉の予防になり、結果的に猫への負担も少なくなります。
シャンプーは「きれいにするため」だけに行なうのではなく、皮膚バリア機能を守るスキンケアとして重要な役割を持ちます。
ただし、無理にお家でやる必要はありません。飼い主さんのケガのリスクや、猫にとってストレスやトラウマになってしまう場合もあるので、ご自宅でのシャンプーが難しい場合はサロンを利用することで、皮膚・被毛の状態を確認しながら適切なケアを受けることができます。

ハーブパックという選択
🩺獣医師の視点
ハーブパックは擦らずに余分な脂や抜け毛を落とすことができるため、猫への負担が少ないケアです。皮膚のコンディションを整え、被毛の仕上がりも良くなります。
✂猫専門トリマーの視点
抜け毛も脂もハーブでしっかり取れることでドライ時間の短縮に繋がるので、「うちの子ドライヤー苦手なんです」という方には特におすすめしています。実際にサロンでは多くの人が定期的に取り入れています。
被毛や皮膚への負担をできるだけ抑えながらケアを行いたい場合には、ハーブパックという選択肢もあります。定期的に続けることで、皮脂のバランスが整って、毛玉やもつれの軽減効果もより実感できるようになります。
さらに、ハーブパックをすると血行が促進されるからか、飼い主さんからは「毛量が増えた」「施術後にぐっすり眠るようになった」などの声も多くいただくそうです。
サロンと動物病院の上手な使い分け
🩺 獣医師の視点
皮膚トラブルがある場合は治療が優先になりますが、落ち着いた後の維持管理はサロンでのケアが役立ちます。また、処置に慣れている子は診察や治療の負担が少なくなるため、日常の中で体に触れられる経験や、音・水・風に慣れておくことが将来的な医療面でも大きなメリットになります。
✂猫専門トリマーの視点
サロンでは皮膚や被毛の小さな変化に気づくことができ、気になる点があれば動物病院での診察をおすすめすることもあります。「サロンでケアをしながら、必要なときは動物病院へ」という流れを作っておくと、猫にも飼い主さんにも無理のない形でケアを続けることができます。
サロンは日常的なお手入れや皮膚・被毛の状態維持、動物病院は診断や治療と、それぞれ役割が異なります。どちらか一方ではなく、目的に応じて上手に使い分けることで、猫の負担を減らしながら健康管理を行いましょう。
猫のケアは“その子に合う方法”を選びましょう
猫のお手入れに「必ずこうしなければならない」という正解はありません。
大切なのは、
・無理をしないこと
・できる方法を選ぶこと
・必要なときはサロンや動物病院を頼ること
ということ。
猫にとっても飼い主さんにとっても負担の少ない形でケアを続けていくことが、猫の健康と快適な生活につながっていきます。

今回お話を聞かせていただいたのは…

島田 健一郎先生
日本獣医皮膚科学会認定医
獣医学博士
犬の皮膚バリア機能研究の第一人者であり、
犬猫の皮膚病治療の専門家として活躍されています。

野口 零さん
目黒にあるBIBICHE猫専属トリマー
都内随一のトータルケアサロン
BIBICHEで800頭以上の猫を施術。
猫の気持ちに寄り添うケアの
プロフェッショナルです。
このコラムは日本獣医皮膚科学会認定医・獣医学博士である島田 健一郎先生とのインスタライブを元に抜粋、編集しております。