お話し伺いました
第1回|「犬の整体って何?」─LAUGHWITHDOGが目指す、“自分で動ける体”という考え方
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LAUGH WITH DOGが考える犬の整体とは
「犬の整体」と聞くと、シニア犬のケアや体に不調が出てから受けるもの、というイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし今回お話を伺った、株式会社LAUGH WITH DOG代表・伊藤 みのりさんが大切にしているのは、“いかに長く、自分の体で動けるか”という視点でした。
筋肉のつき方や体の使い方、姿勢を見ていくことで、その子が本来持っている動きを引き出していく。整体は、不調になってから通う場所ではなく、“自分で動ける体”を維持するためのものだといいます。
今回は、LAUGH WITH DOGが考える「犬の整体」の役割と、目指している体づくりについて伺いました。
犬の整体は「体を整える」だけじゃない
―――――そもそも「犬の整体」って、どういうものなんでしょうか?
みのりさん:
「整体っていうと、マッサージのイメージを持つ方も多いと思うんですけど、私の中では“体の使い方を整える”ものです。スポーツトレーナーのように関節の位置や姿勢、筋肉の使い方を見て、その子が無理なく動ける状態に近づけていく、体づくりをしてあげるというイメージです」
犬の整体は、ただ筋肉をほぐすためだけのものではありません。
姿勢や動きのクセを見ながら、関節の位置を整え、体が正しく使える状態に戻していく。そうした“体の土台づくり”として整体を捉えていました。
「介護が大変になる」のは、犬が自立できなくなるから
―――――そもそも、みのりさんが犬の整体に興味を持ったきっかけは何だったんですか?
みのりさん:
「最初は、老犬を預かるようになったのがきっかけでした。トボトボ歩いている子に、人と同じように整体をしてみたら、スタスタ歩くようになって……それを見た時に、すごく衝撃を受けたんです」
その経験から、みのりさんの中で強くなったのが、「自立して動ける体」という視点でした。
「介護が大変になる一番の理由って、犬が“自立して動けなくなる”ことだと思うんです。だから、最期まで普通に暮らせれば、介護疲れもなく穏やかに暮らせると思いました。なので、そもそも“自分で動ける体”をどうやって維持するかを考えたいんです」
そこから、体の使い方や姿勢、筋肉のつき方を見ていく今の整体の考え方に行き着いたそうです。
整体は、弱ってから支えるためだけのものではなく、 ”自分で動ける状態をできるだけ長く保つため” のもの。みのりさんの整体は、そんな考え方をベースにしています。
犬の「ゼロポジション」という考え方
―――――自立して動ける体ってどんな状態ですか? みのりさん: 「犬にも、その子にとって一番負担が少ない姿勢があるんです。それを“ゼロポジション”と呼んでいます。そこからズレた姿勢で動き続けると、どうしてもどこかに負担がかかってきます」
姿勢が崩れたまま生活を続けていると、筋肉の使い方にも偏りが出て、シニア期に入ったときに後足が弱くなったり、動きにくさが目立ってきたりすることも少なくないそうです。
「今は、そもそも筋肉がちゃんと使えていない子がすごく多いです。足をちゃんと上げて歩けない、膝が曲げられない、体重を後ろに乗せられない……そういう子、本当に多いんですよ」
本来なら自然にできているはずの動きができないまま成長すると、特定の場所に負担が集中しやすくなります。特に小型犬では、筋肉量の少なさから膝に負担がかかりやすいケースも多いそうです。
「だから、シニアになってからだけじゃなくて、0歳から体の使い方を整えてあげる、という考え方も全然アリだと思っています」

※犬のゼロポジションを説明する伊藤 みのりさん
どんなきっかけで、整体に来る人が多い?
―――――実際にはどんなきっかけで相談に来る人が多いのでしょうか?
みのりさん:
「大きく分けると、“予防ケア”と“違和感を感じて”の2パターンですね。ずっと元気でいてほしいから、今のうちから体を整えておきたい、という方もいれば、『なんとなく歩き方がおかしい』『お散歩の途中で座り込むようになった』みたいな違和感から来られる方も多いです」
中には、病院で検査をして「特に異常はない」と言われたけれどやっぱり様子が気になる、というケースや、ケガや手術後のケアとして動物病院からの紹介で来られるケースもあるそうです。
「例えば、どこか気になって舐める → それが続いて皮膚が荒れる → 皮膚病として治療する、という流れになることがあります。でも、そもそも“なんでそこが気になり始めたのか”っていう原因が、体の使い方や姿勢にあることも少なくないんです」
年齢も、パピーからシニアまで幅広く、 ”予防” と ”困りごと” 、どちらの入り口の人もいるのが現状だといいます。
シニアになってから通われるケースも多いそうですが、それは”シニアになって急に問題が出た”というより、それまでの姿勢や動き方のクセが、年齢とともに表面化してきた、という見方のほうが近いのかもしれません。
整体=リラクゼーション、ではない
―――――整体って「リラクゼーション」のイメージを持つ人も多いですよね。
みのりさん:
「そうですね。でも、私の中ではリラクゼーションというより“リハビリケア(リハビリテーション)”なんです。一回やって終わり、気持ちよくなって終わり、ではなくて全体をバランスの良い状態でキープするために続けていくもの、というイメージですね」
整体の目的は、“気持ちよくさせること”ではなく、“正しく体を使える状態に近づけて、それを維持していくこと”。施術の頻度も、「みんな同じペースで」という考え方ではなく、その子の体の状態に合わせて決めていくそうです。
「リハビリって、細く長く続けていくものなんですよね。治ったから終わり、じゃなくて、いい状態をキープするために続けていくものだと思っています」
シニア犬の場合は、体の状態を保つためにも、回数を少し多めにしてあげるのもおすすめとのこと。また、整体の時間そのものが、ワンちゃんとのコミュニケーションの時間になる、という側面もあるそうです。
マッサージ+運動で、いい状態をキープする
みのりさんが大切にしているのは、 ”施術のあと、どれだけその状態をキープできるか”
「マッサージだけしても、そのあとに同じ体の使い方をしていたら、すぐ戻っちゃいます。
だから、運動でどう体を使うか、というところがすごく大事なんです」
施術時間についても、「長ければいい」というわけではありません。
「筋肉の固さと、その子の集中力次第ですね。関節の位置をちゃんと戻してあげるのが大事なので、そこまで固くなければ、そんなに長い時間をかけなくても大丈夫なことも多いです」
とのこと。“長くやればいい”のではなく、その子の体にとって必要なことを、必要な分だけやる。それが、みのりさんの整体のスタンスだと感じました。
シニアの不調は、突然始まるわけじゃない
お話を伺っていて印象的だったのは、シニア期の不調は“ある日突然”起こるものではなく、それまでの体の使い方や姿勢の積み重ねの結果として出てくる、という考え方でした。
「だからこそ、年齢に関係なく、今どういう体の使い方をしているかを早い段階から見ていくことに意味があると思っています」
不調になってから整えるのではなく、不調になりにくい体を育てていく。
それが、みのりさんの考える”犬の整体”でした。
次回予告
実際に“自分で動ける体”を育てるためには、どんなことを意識すればいいのでしょうか?
次回は、実際に犬の体を見てもらった様子と、どんな運動を取り入れるといいのか、そして、家庭でできるケアについて詳しく伺います。

今回お話を聞かせていただいたのは…

🧍♀️PROFILE
伊藤 みのり(株式会社LAUGHWITHDOG代表)
2004年からペットシッターを始め、
2007年に創業スタッフの1人として
老犬のデイサービスを行う店舗を立ち上げる。
20年間のノウハウをたくさんの犬のケアを行なっている人に
笑顔と共に伝えたい!!
2023年に独立して株式会社LAUGHWITHDOGを立ち上げ、
飼い主と犬が笑顔で過ごせるサポートをモットーに活動。